愛媛県では、有害鳥獣の圃場への侵入や食害を防ぐための様々な技術について、効果の検証と効率的な活用法の検討を普及機関を中心に実施しています。
①「くぐれんテグス君」
国の研究機関で発表されたテグスとネット使ったカラス防除の技術です。
従来の圃場全体を覆う防鳥ネットよりも安価で施工も容易な上、高い被害防止効果も確認されています。
②「電通ネット」
ネットの一部に通電部分を持つネットです。起伏の多い果樹園等での鉄筋柵では、隙間があかないように地際部の施工に苦慮していました。電通ネットでは下部をくぐられることがなく、柵を登って侵入するハクビシンやサルの侵入も防止できるのが特徴です。傾斜地でも施工が簡単なうえ、必要がないときはネットをワンタッチで下ろせるため、農地での作業にも邪魔になりません。
③ミシン糸を使ったヒヨドリ対策
木に素早くにミシン糸を掛けることで、ヒヨドリなどの鳥害を防ぐ技術です。ミシン糸は非常に安価で、設置、除去するのも簡単なことから、不整形の小規模果樹園等での鳥害対策に有効です。
専門家の解説
ここで紹介された鳥獣の防除技術は、農業者が自らの経営規模や求める収益の大小に応じて選択できる対策の幅を広げるという意味で、非常に魅力的であると感じました。
今後、普及に際しては、防除効果の検証に加えて資材費や設置労力、維持管理や撤去の労力、使用しない時期の保管コストなどについても総合的に評価検討し、各技術が本当に普及に値する技術かどうか、どのような場面でどのように運用するのが効果的かについても精査されることを期待しています。